命誕生
午前5時半ごろドンドンドン、出窓のガラスを叩く音に目を覚ましました。私は「あっ、お産だ」と瞬間に思いました。予定日が12月1日予定の3人目のお産の方がいらっしゃるのです。前の2人のお産の時は皆予定日より数日遅れて出産になったと、担当助産師が言っておりました。ですので、私は「まだお産は先のことかも」とたかをくくっていたのです。しかし、助産師は何処かで いつお産でも良いと覚悟をしていなくてはならないのです。私は「ちょっと待って、今窓を開けるから」と大声をあげ、ベットからゆっくり起き 杖を持ち転ばないように注意しながら、出窓の鍵まで近づき 鍵を開け 窓を開けました。すると一人の助産師が「Mさんのお産が始まり、もうすぐ担当の助産師とこちらに向かっています」と一言。私は全てを察し2階で寝ている夫、娘に大声をあげてお産が始まったことを告げました。
私の家は助産院です。日頃は、家族の寝起きしている所を使って お産をし そこで数日 産後ステイするのです。
10分位してから、陣痛が来た妊婦さんを連れて 担当助産婦が到着しました。
助産婦さんは「もう陣痛は2分から5分くらいです」と言いながら家に入って来ました。私は妊婦さんが階段を登っているのを見て、お産が急激に進みそうなので 大きな声で「いきまないで」と声かけしました。まだご主人が到着していないので私はそんな声かけをしたのです。あんなに、今すぐにでも生まれそうだったのですが それが少し、時間がかかっている感じでした。正直、妊婦さんの緊迫した声も、少し静かになりました。私は「どうしたのか?」と気になったのです。そこに「おはようございます」とご主人がやっとご到着です。ご主人が2階に急ぎました。2階に到着するや否やすぐに、赤ちゃんの鳴き声が聞こえました。1階で 2階の様子をみていた私は、本当に不思議に思いました。
赤ちゃんも、お母さんも、お父さんを待っていたのだなと思いました。赤ちゃんの鳴き声をききながら「命誕生の声を聞くことができ、なんと、幸せか」と感激しました。私は直接 赤ちゃん誕生の場には居ませんが、遠くで命誕生の声を聞くことがどんなに素晴らしくありがたいか痛感した。彼女3人のお子さんを私どもで自然分娩しました。2人目までは私も一緒お産のお手伝いをしましたが、今回 私の後輩が主体的にお産介助をしました。3人とも安産で何よりだったと、胸を撫で下ろしました。
そういえば彼女は妊娠中、家族で山登りしたりしてお産に備えたと聞いています。やはりお母さんが出産のため努力することは、安産につながると思います。彼女が到着して30分くらいでお産になったのですから、超安産になります。本当におめでとうございます。朝から、とっても幸せな気持ちにになりました。